
昨年末からの不況はかつてない厳しさである。世界一だった自動車産業も電機大手も世界的な景気低迷により輸出が落ち込み、この厳しさのなかを耐え忍んでいる。小売業界では、百貨店が大手専門店の攻撃で見る影もない。そして、流通業のトップの売上規模を持つGMS大手が赤字に陥っている惨たんたる状況である。ホームセンター業界も苦しい決算を発表している。
そのようななかではあるが、おかげさまでコメリは、売上高は前年同期比102.8%、営業利益は前年同期比100.2%となった。昨年から力を入れてきた肥料や農薬などの農業用品が好調に推移し、7県に配置した18名の農業アドバイザーも肥料や農薬の販売に成果を上げてくれている。
それと同時に上期は82店舗の改装を行い、品揃えの充実やお客様に喜んでいただける価格を打ち出して支持をいただいた。改装を実施した店舗では、園芸・農業用品、家庭用品が既存比で約110%、金物・資材・建材、オフィス・レジャー用品は既存比約105%となった。それぞれの地区に配置した改装担当が活躍してくれた。そして、流通センターでは細かい商品の仕分けや店間移動を行い、ロスを最小限に抑えることができた。
九州でも店数は86店舗となった。知名度も上がり、売上上昇率は2桁のアップとなっている。この時期に2年半で86店舗を出店したスピードは大きく話題となった。チェーンストアとしての物流体制と情報システム、ローコストオペレーションがあったから成し得たのである。しっかりと地盤に根を下ろしたということになるだろう。
コメリが行っている出店戦略は、ハード&グリーンは1万人商圏にも出店することができる。総店舗数は977店舗。ホームセンター業界ではダントツナンバーワンの店数であり、農業地帯では農業用品や肥料、農薬が地域の人達に喜ばれ、また店には仕事場から直接来店できる気楽さがある。下期は10店舗の追加出店を行う。18店舗の新規出店と92店舗の改装を計画している。
この10月には子会社であるホームファッションのアテーナを吸収合併し、大型ホームセンターにアテーナの開発商品を導入した。導入後、内装用品は既存比153%、家具・収納用品は既存比140%と順調に推移している。コメリのパワーは資材、建材に力が入り、プロ向けの品揃えのなか男性客が多かったが、インテリア用品の強化やウィークリーチラシを導入したことで女性客が増え、日用品、園芸用品の売上は一割近く伸びて全体の売上を牽引している。商品構成を変え、ゴンドラも低く見やすくしたことで一般のお客様の来店が増えている。来期に向けて楽しい店ができると思う。
これからの競争はますます激しくなるだろう。苦しかった今までの経験をバネに、一層お客様のニーズに添った積極的な挑戦を行っていかなければならない。