
コメリが株式会社となって50期を迎える。それ以前は米屋を開き、生計に役立つように働いて10年。薪や木炭を販売していた。その後、石油とLPガスを扱っていたが、石油ショックに遭いホームセンターに転身した。順調に業容を拡大し、店数も今年1,000店舗となる。
昔の社内報を見ながらアメリカ研修の川ア進一先生の顔を思い浮かべる。遅れている日本の小売業に対して意欲を持って取り組んでいた最中を思う。若かりし頃の友の顔、良き仲間の姿を見ながら昔を偲ぶ。
恩師川ア先生が十四年間勤めていただいた監査役を退任される時に、「コメリは1,000億円を超えた。小さな企業の時から見てきたが、次は3,000億円です。これからもスムーズにいくでしょう。問題が起こらないうちに対応してきていますからね。これから大切にしたい要点は2つあります。1つ目は、ディテールの問題です。足元の細かい問題をきちんと指摘し、改善、努力をし続ける企業体質をつくり上げていくことがポイントでしょう。2つ目は、社会の公器として使命感を持って事業を進めることです。何のために事業があるのか。大切なことは大きな理想を持って進むことです」とおっしゃった。
その後、三重のミスタージョンや秋田のヤマキと提携し、売上も店数も増やしてきた。
そしてコメリが独自に開発をしてきた小型専門店ハード&グリーンを強化し、大きな成果を上げた。この業態をつくり上げるためにはコメリ独自の経験に基づいた仕組みの構築があった。物流センターはハード&グリーンをローコストで運営するための大きな力になり、また商品力を強化する商品開発に大切な役割を果たした。そしてコンピューターの活用によって労働生産性を上げることができたのである。
そうした商品流通の経験をもとにインターネット販売サイトを立ち上げ、10年前に東京の帝国ホテルで開設発表会を行った。
同じ年にリフォーム事業も立ち上げたのである。ホームセンターに参入する前の燃料販売の時に冷暖房、空調機関係を販売してきたことに起因する。
当時を思い返すと不思議なものである。1,000店舗も3,000億円も、そしてインターネット事業とリフォーム事業の開設10周年も、この時期に重なる。そして今、おかげさまで大量の出店を重ねている。
アメリカのサブプライムローン問題に端を発した金融不安も、今年は収まるだろう。資材価格も大幅に安くなり、金融機関も融資を待っている。失業率は5.2%で、職を求める人が多い。工場は閉鎖し、大幅な操業停止に追い込まれているところが多いのである。不況の世の中であればこそ、設備投資を行うように努力したいものだ。
世の中は情報化社会が進み、農業は改革を待っている。これから大きな変化がくる。この時流をとらえて積極的に挑戦していくところに大きなチャンスがある。