
この夏は猛暑で、9月に入っても暑さが続いていた。当初良好と伝えられていた作況も、高温障害により品質が低下し、収量が落ち込んだ。このままでは経営が成り立たないと危機感を持つ生産者も多い。
最近の新聞に、ロシアが130年ぶりの大干ばつに見舞われ穀物の輸出を一時的に禁止したと報じられていた。今までは穀物の輸出で外貨を稼いできたが、自国に問題が起きれば、国内の食料確保を優先するという姿勢である。日本は小麦の9割以上を輸入に頼っている。小麦の最大の輸出国であるアメリカの在庫は十分にあるとされているが、天候不順や価格の高騰で調達難に陥るリスクは年々高まっている。
農産物の輸出規制は、2007年頃からベトナムやインド、アルゼンチンなどでも行われ、現在も11カ国が何らかの規制を敷いているそうだ。中国やアメリカもあてにならないのかもしれない。
世界の人口は、2050年には現在の68億人から91億人に増え、今より70%の食料増産が必要になると推測されている。少子高齢化が進み人口が減少していく日本に対し、世界の胃袋は人口増加と食の多様化により、どんどん大きくなっていく。
日本は食料自給率40%である。農業総産出額は8兆5千億円で、ピーク時から3割近く減っている。そして農業就業人口も、この10年で100万人減少し、今や65歳以上が61%を占める。世界に食料危機が訪れるとの見方が広がるなか、食料自給率を早急に50%にまで引き上げることが大きな課題となっているのである。「農業は国の礎」という言葉があるように、日本は日本の農業を育成し、食を大事にしていかなければならない。
これまで農業用品を販売し農業を指導してきた農協は毎年支所数を減らし、平成10年に1833あった支所は716に縮小している。これに対してコメリの店数は、平成10年には311店舗であったが、現在は1,000店舗を超えた。コメリには、日本の農業を手伝っていく役割もあるのである。おかげさまで、1万人商圏に出店できるハード&グリーン業態がコメリにとって大きな力になっている。近くて便利、仕事場から直接、長靴のままでも来店できる気軽さは地域の人たちから喜ばれているのである。
一昨年、日本プロ農業総合支援機構に参画し、「農業経営なんでも相談窓口」を開設した。農業について豊富な知識を持つ農業アドバイザーは、全国12県に33名となり、1店舗1人体制を目指しているところである。農業は将来の成長産業であり、日本の農業の健全な育成と発展のために、農業資材や農薬、肥料など、安くていい商品を提供し、それをお手伝いするところにコメリの使命がある。
店舗における品揃えの拡充や販売体制の強化を図り、国の重要な産業を担っていきたいと思うのである。