かざみどり巻頭文

時流への挑戦

 仕事始めの1月4日は気持ちのいい好天に恵まれた。穏やかな空を見上げながら身支度を整え、出社した。
 今、世の中は大変な勢いで変化している。これまでの日本は、技術力を活かして車や家電などを輸出してきた。しかし、日本の製造業は安価な労働力と資源を求めて生産拠点を新興国へ移す動きが進んでいる。
 そして流通業においても、消費の縮小により海外に活路を見出そうとしている企業が多い。日本はこれから先、どうなるのだろうか。
 そのようななか、昨年は、コメリにとって1,000店舗達成の記念すべき年であった。1号店の出店から33年。振り返って、コメリは変革の連続だったと思うのである。
 もともと、コメリの始まりは農家である。父が生計を立てるために米屋を始めたが、当時は統制経済のために成長できず、燃料を扱うようになった。その燃料も、時代の変化とともに薪や木炭が石炭に、そして石油、LPガスへと変わってきた。順調に営業していたところへ石油ショックが起こり、ホームセンター事業に参入したのである。
 アメリカを視察し、ロマンを抱いて参入したホームセンターであったが、1号店の開店からわずか1年後、大店法の改正により出店が規制された。チェーンストアの夢を抱いていたコメリにとって、大きな挫折であった。
 業界の各社が150坪の小型店を模索するなか、コメリは商品力とローコストオペレーションの仕組みのもとにハード&グリーンを構築することができた。
 今年の重点方針は「世はまさに変革の時代 1,000店 ホームセンターチェーンとしての責任を果たそう」と決めた。コメリは時代とともに変化してきた。変革がなければ成長はないのである。
 今、1,000店舗を出店したことにより社会からの信用が増し、新しいエネルギー事業や農業関連事業の展開など、ともに取り組みたいという声をいただいている。ありがたいことである。
 世界では地球的な規模で温暖化が問題になっている。政府は世界に向けて、2020年までに温室効果ガスを1990年比25%まで削減すると公表した。これからは、化石燃料に変わるエネルギーとして太陽光や風力、地熱などによる新エネルギーが普及してくるだろう。電気自動車の普及に力を入れている自治体からは、全国に1,000店舗を超えるコメリのネットワークを活かし、その拡大に向けた環境整備に協力してほしいとの要請も受けている。このエネルギー変化に、真っ向から立ち向かう必要があるのである。
 ホームセンターは住まいと暮らしに関する仕事が使命である。コメリは、時流をとらえながらお客様に喜んでいただける政策を拡大してきた。今年も時流の本質を見極め、世の中の幸せのためにコメリの仕事がありますように、大きく前進していきたいと思うのである。