かざみどり巻頭文

変革の世の挑戦

 東日本大震災から2カ月が過ぎた。電力不足の影響や生産停滞により業績の見通しが立たない企業もあるなか、コメリも50期の決算と今後の計画を発表した。
 営業収益は前年を4%上回る2,985億9,400万円となった。おかげさまで営業利益は158億6,900万円、経常利益は153億6,100万円で、いずれも前年を上回ることができた。当期純利益は、会計基準の改正による資産除去債務10億円、東日本大震災による被害17億円などを特別損失に計上したため、前年比12%減の56億9,800万円となった。
 発表を聞いた機関投資家からは、厳しい環境下でも堅実に業績を残していることに評価をいただいた。住宅関連の復興に資材や建材などの需要を見込む声や、農業分野への貢献を期待する意見も多かった。
 震災後、乾電池や合板などが不足するなか、コメリはあらゆるルートを模索して商品の供給に努めた。買い物に来られるお客様の様子や店舗の話を聞きながら、改めてホームセンターが果たす役割や使命について考えさせられたのである。
 アメリカでは、ホームデポの売上高は7兆円、ロウズは5兆円である。それに対して日本のホームセンターは、全社を合計しても3兆6,000億円。これは、日本のホームセンターがあるべき形になっていないからではないだろうか。
 コメリは、チェーンストアという手法を用いて流通の近代化に挑戦してきた。これからも世の中の時流をとらえ挑戦したい。
 1つは、エネルギー問題である。コメリは農業から身を起こし、時代とともに薪、木炭、そして石炭、灯油、LPガスと扱う商品を変えてきた。震災後、原子力発電所の事故は深刻な影響をもたらし、今、太陽光発電に大きな注目が集まっている。コメリの1,000店舗を活用した太陽光発電事業を期待する声もいただいているのである。
 さらに、車もガソリンを使わない電気自動車に変わっていくだろう。
 コメリは新潟県から電気自動車の充電器の設置を要請され、3月に湯沢店に設置した。電気自動車の普及には充電設備が欠かせない。コメリの店舗ネットワークが新しい時代の社会インフラになろうとしているのである。
 そして、農業分野においても、3月に日本政策金融公庫と農業分野の融資に協力する覚書を締結した。日本政策金融公庫は、農業の発展のために低金利で貸し出しを行う政府系の金融機関である。コメリのアグリカードではまかないきれない設備投資や、事業拡大を願う農業者のニーズをバックアップしていく。
 今期、コメリはパワー3店舗、ホームセンター7店舗、ハード&グリーン35店舗出店し、特に九州地区のドミナント化に力を入れていく。1,000店舗を超えるホームセンターのチェーンストアとして、時流をとらえ、世の中の人々に喜んでいただける事業を構築していきたいと思うのである。