かざみどり巻頭文

ホームセンターのなすべき役割

 かざみどりの取材で秋田県の角館を訪れた。黒い塀の下を小川が流れ、武家屋敷が連なっている。茅葺きの屋根、蔵、中に入ると書院造りの座敷があった。町を深い木立が覆い、歴史が感じられた。

 ちょうど、角館の秋祭りに遭遇した。祭り姿の娘さんが行き交い、若者たちが華やかな曳山を引いて町を練り歩く。秋田美人が笛や太鼓のお囃子に合わせて踊っていた。角館の城下町は熱気に包まれている。

 翌日、コメリのパワーを見学した。二千八百坪の大きな店で、店内はパワー新発田店をモデルにしてきれいにつくってあった。一歩外へ出ると、開店当時はなかった専門店が出店し、スーパーマーケット、ドラッグストアの一大商業集積になっている。スーパーマーケットのお客様の出入りを見ながら、コメリはお客様が多く通るところから園芸や植物を並べ、その奥に生体やペット用品、そして日用品、金物、工具、木材、資材と続く形が理想だろうと感じた。しかし、資材関係から陳列されている現状を見て反省させられた。

 パワーのモデル店になっている新発田店は、本部から近いこともあり各部の意見が反映され、本部の考え方も学ぶことができる。その売場を水平展開させて、パワーの店内は大変良くなった。しかし、商業集積の他店との調和や買い物に来られるお客様が楽しめる町づくりには課題が残る。

  特に、初期のころはコメリ単独出店という立地で、お客様が楽しめる町づくりの意識がなかった。時間の経過とともに周辺に 店ができ、一大商業集積地となっている。商業集積の中では、ホームセンターは最大級の店舗になるだろう。売場面積の広いコメリの影響力は大きい。将来を見据えた店づくりをしていくこと、そして現場でも、商業集積を構成している他店との関係をもっと大事にしてほしいと話した。

  東北から戻り三週間後、九州へ視察に行った。そのショッピングセンターには、ぜひコメリに出てもらいたいと強く頼まれて出店した。九州は進出から日が浅く、パワーも最新のタイプだ。入口正面にはリフォームカウンターがあり、専門店のアテーナの売場が独立している。非常に楽しい。隣接店舗との関係に気を配り、行き届いた計画のうえでつくられたところは素晴らしい商業集積になっていた。

  店をつくる際には隣接店舗との調和に配慮することが良いショッピングセンターづくりにつながり、それが地域のお客様から支持をいただく商業集積をつくっていくのだろう。

  今、日本のホームセンター業界のなかで、住まいを美しく、暮らしを便利にしてくれるホームセンターづくりに取り組んでいる企業はどれだけあるだろうか。コメリはホームセンターの核カテゴリーを扱い、一千店舗を超えるチェーンストアになっている。地域社会においてもリーダーシップをとって、地域に喜ばれる町づくりに貢献することもコメリの大切な使命である。