かざみどり巻頭文

時流への挑戦

  毎朝、本社の周りを散歩することを日課にしてどれくらいになるだろうか。立春を過ぎたとはいえまだ寒い日も多いなか、今朝はすがすがしいほどの晴天に恵まれた。爽やかな空気を吸い、このように働けることは幸せなことだと思う。
  本社の周辺も、最近大きく変化した。本社ビルの隣で営業していた鉄屑屋さんから土地を買ってほしいとの申し出があって購入し、昨年の春、K2ビルを竣工した。その建設と同時に本社脇の道路が整備されて、加茂から本社前の清水の交差点を通り、巻に向かう幹線道路が拡幅された。北陸自動車道の巻潟東インターチェンジに続く非常にいい通りになった。
  時代は大きく変わっていく。エネルギー産業は、原子力問題に端を発して大きく変化しようとしている。コメリは農業から身を起こし、薪、木炭、灯油、LPガスの燃料を扱ってきた。その移り変わりを思いながら、これからは太陽光発電の時代が来ることを感じさせられる。
  国会で、自然エネルギーの全量買い取りを電力会社に義務付ける法案が成立したのを受け、コメリの屋根で太陽光発電事業を行いたいとの申し入れがあった。コメリの屋根面積は約五十万坪で、東京ドーム約三十五個分の広さに相当する。標準化された店舗を一千八十店舗以上展開しているホームセンターは他にない。コメリが持つ店数から新たな産業が生まれる可能性がある。
  そして、自動車もこれまでのガソリン車から電気自動車へと変わろうとしている。地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を出さないことから、電気自動車は大きく注目を集めている。しかし、その普及には充電設備が必要で、コメリは新潟県から要請を受け、昨年三月にHC湯沢店に電気自動車の急速充電器を設置した。そして昨年十月には本社前の交差点に二機目を設置した。コメリの店舗のネットワークが、新しい時代の社会インフラとして期待されているのである。
  本社の隣地では、地主さんが残していかれた家屋の屋根に太陽光発電パネルを設置し、スマートハウスのモデルルームとして活用する取り組みが始まろうとしている。これからの新しい時代を思いながら、まるでその事業をやることを示唆されたかのような地の利となった。不思議な縁であり、時代に先駆けて取り組んでいくことは、コメリに与えられた使命なのだと思う。
  昨年の秋、家電のヤマダ電機は中堅ハウスメーカーを子会社化した。モデルハウスを設置し、太陽光発電、蓄電池、省エネ家電、電気自動車などを販売するという。大変おもしろい着眼であるが、本来それはホームセンターが担うべき役割だととらえている。
  時代とともに周囲の環境は変わっていく。今年はもっと激しく変わるのではないだろうか。これから起こる変化を研究し、国際的にも通用するホームセンター産業を構築していきたい。