かざみどり巻頭文

ホームセンター事業の確立

  この春、コメリは創業60周年を迎えた。そして今年は、株式会社を設立して50周年の節目の年でもある。
  創業した頃の商いは生業で、会社の事務所も倉庫もすべて自宅の敷地の中にあった。しかし、株式を上場するためには個人の土地ではいけないと、昭和61年に本社を新潟市に移した。それは企業として一流になりたいという思いからで、家業から の脱却であった。
  ペガサスクラブの渥美俊一先生、それからホームセンター事業をアメリカで研究してこられた会田玲二先生と出会った。その後、川ア進一先生にコメリの監査役になっていただき、アメリカのホームセンターを研究させてもらい、アメリカへ相当回数行った。先生方の話を聞き、ほかの店を見ながら、ホームセンター事業をチェーンストアの形で日本に確立していきたいと願った。
  本社移転の翌年、株式上場を実現した。その後、本社を新潟市米山から現在の清水に移した。
  出店を重ねて、全国に1090店舗となった。願望は形になって出てくる。日本にあるべき形のホームセンター事業を確立したいという願望が、今の姿になっている。
  振り返ると、ホームセンター事業に参入して35年が経つが、今の日本にホームセンターといわれる企業はあるのだろうか。日本のホームセンターの多くは、ホームセンターとは言っているが、日用品が中心のバラエティストア、ディスカウントストアになっている。
  アメリカでホームセンターといえばホームデポとロウズである。その2社を見て分かるように、資材、建材、住まいに関するものを中心に扱う業態がホームセンターである。しかし、日本にはまだそのような企業がない。
  コメリは、真のホームセンターを目指してパワー業態の構築を進めてきた。ホームセンターの核カテゴリーである資材、建材、農業用品、ホームファッションの分野で、商品の品揃えを追求しながら圧倒的にお客様から支持していただける形を確立していきたいと思う。これからも、日本における本物のホームセンターになるという理想を追い続けていく使命がある。社員も一人ひとりが日本におけるホームセンター事業を確立していこうと思えたら、素晴らしいではないか。
  世界から見れば、コメリはまだ小さな存在である。だからこそ、日本でホームセンターのチェーンストアをきっちりとつくっていきたいと思うのである。アメリカ、ヨーロッパやアジアの国から、「日本のホームセンターといえばコメリだ」と言われるような店をつくりたいものである。
  ホームセンターはこれからどんどん成長する業態である。コメリは他の企業にはない1090店舗という店を持っている。専門的な商品を販売できる人材を育成し、日本におけるホームセンター事業を確立していきたいものである。