ルネッサンス文化発祥の地、イタリア・フィレンツェは、世界的な芸術の都です。
このたび、日本国内において活躍しておられる、若い精鋭作家の発掘を目的として「第10回フィレンツェ賞展」を開催いたします。大賞受賞者には、芸術の都フィレンツェ滞在を通して創作活動を支援し、これからの芸術文化の振興と芸術家の育成を図ることを目指して作品を募集しております。また、第5回展より元フィレンツェ美術アカデミア教授ビンチェンツォ・ビアンキ氏によるビアンキ賞が設けられ、同賞受賞者にもフィレンツェ滞在・創作活動を支援いたします。
50歳以下、具象系という制限のなか、全国38都道府県より235点の応募があり、厳正なる審査のうえ、5点の入賞作品をふくむ42点の入選作品が選考されました。
入賞・入選されました各作家の一層のご活躍を期待しますとともに、ご出品いただきました方々のさらなるご精進を、心から祈念いたします。
50歳以下(1959年1月1日以降生まれ)の具象系。経歴、所属は問いません。
S100号サイズ(162.1cm×162.1cm)までの絵画。(未発表作品)。一人1点
100日間のフィレンツェ市での制作活動を支援。(渡航費・滞在費・交通費支給)
賞金70万円
30日間のフィレンツェ市での制作活動を支援。(渡航費・滞在費・交通費支給)
30日間のフィレンツェ市での制作活動を支援。(渡航費・滞在費・交通費支給)
※フィレンツェ大賞・優秀賞・ビアンキ賞・10回記念特別賞作品は、帰属となります。
青木 茂 (文星芸術大学教授)
川上 實 (愛知県立芸術大学名誉教授)
久保尋二 (美術史家、新潟大学名誉教授)
ビンチェンツォ・ビアンキ (元フィレンツェ美術アカデミア教授)
捧 賢一 ((財)美術育成財団雪梁舎理事長/特別審査員)
【新潟展】 雪梁舎美術館 2008年8月3日(日)~9月7日(日)
【東京展】 東京都美術館 2009年1月4日(日)~8日(木)
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フィレンツェ大賞 「宙~トキノカタチ」 稲田 峻 兵庫県 |
自分の感じている主観的な時間は、生命体の存在している時間を遥かに超えた宇宙規模の中では、確認すら出来ないほどほんの一瞬でしかない。しかし存在さえ分からないほどの短い時間を日々大切に過ごし、そのちょっとした情緒や思いを形にしていく仕事を私は選んだ。
多くの画人達のちっぽけな主観が表現され集まりつながれば、人間が生きて来た長い時間を観ることができる。人が何のために日々を過ごしてきて、これからどう過ごしていくのかが、それを観ることで分かっていくような気がする。つまり何百年も前の画人の筆使い息づかいを作品を前にして感じることで、主観的な考えが少しずつ広がっていき、時空を超えた人間との精神的なつながりが生まれてくるのだ。またそのことの大切さを意識し描いていくことが、おこがましい言い方だが、私たちがそうであるようにやがて未来の人間を精神的に救っていくのではないかと思う。画家が描くということは、今の私の時点ではそういうことだと考えている。
稲田 峻 (1963年生まれ) | |
1987年 | 金沢美術工芸大学美術工芸学部日本画専攻 卒業 / 第14回春季創画展 入選(以後17回) |
1995年 | 第6回川端龍子賞展 龍子大賞受賞 |
1996年 | ’96三溪日本画大賞展 佳作賞受賞 / 第23回創画展 入選(以後9回) |
1997年 | 第11回青垣2001年日本画展 神戸新聞社賞受賞 / 第1回新生展 入選 / 第15回上野の森美術館大賞展 賞候補(同2002年) |
1999年 | 99京都美術工芸展 優秀賞受賞 / 第2回川の絵画大賞展 協賛団体特別賞受賞(2006年 特別賞受賞) |
2001年 | 第3回フィレンツェ賞展 佳作賞受賞(同2005年) |
2003年 | 2003京展 栖鳳賞受賞 |
2004年 | 個展(~2007年) |
2007年 | 第18回臥龍桜日本画大賞展 優秀賞受賞 |
2008年 | 第13回ふるさとの風景展 準大賞受賞 |
現在 | 創画会会友、京都日本画家協会会員、西宮芸術文化協会会員 |
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優秀賞 「まだらん」 赤井 正人 奈良県 |
~まだらんくんだりに~
最近、自然…山の中で
色々なことを感じ起こりうるすべてのことに敏感になってきている
住んでいるところが山奥ということもあるかもしれません
私にとって身近で当たり前に存在する自然
いつも自然というフィルターを通して感動することが多い気がします
「獣、人間、空、風、火、水、大地、木、音、生、死…」
すべてが私にとって…
いや…すべての者、物にとって大切なこと
そんな大切なことさえも時には見えなくなることがあり
自分という存在をも見失うこともあります
人と人との重なり繋がりが忘れられそうな時
私はキャンバスに向かい表現しているのだと思います
「我々はどこから来たのか?我々とは何か?我々はどこに行くのか?」
ポール・ゴーギャンから
赤井 正人 (1981年生まれ) | |
2003年 | 奈良芸術短期大学専攻科 修了 |
2004年 | なら輪展(奈良県文化会館) / 第6回フィレンツェ賞展 佳作(同2006、07年) |
2005年 | 個展レスポワール展(スルガ台画廊/東京) |
2006年 | 第15回青木繁記念大賞公募展(石橋美術館、郡山市立美術館) / 23名の作家による23のあすか展(画廊飛鳥オープン企画) / 個展~内なる眼~(喜多美術館/奈良) / スペイン交流展(スペイン国立マドリッド・コンプルテセン大学美術学部ギャラリー) |
2007年 | 第7回熊谷守一大賞展(アートピア付知工芸プラザ) |
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優秀賞 「田園詩人」 篠倉 正行 千葉県 |
40歳を過ぎて、絵を再び描きはじめた頃から目標にしていたフィレンツェ賞展に入賞でき、大変うれしく思っています。
昆虫のような小さな生き物や鳥そして人間、とくに仏様のような年月を重ねた老人をモチーフに絵を描きはじめて3年、旅のスケッチは欠かせません。
都会の街で育った私にとって、旅で出会う小さな昆虫や鳥は、初めて見るものがほとんどで、その形態・色彩のおもしろさや行動の奇抜さは想像を超えていました。この絵もいくつかの旅のなかから生まれたもので、一つの旅日記です。出会った生き物、人々、そしてその土地の風土を一枚の画面に表現してみました。
よく観察すると、日本の多くの地方に、また自分の身のまわりにも、過剰で無駄なものを取り去れば、豊かな自然と理想郷ともいえる、その土地の風土があるように感じます。そういういろいろな土地の風土の本質を、絵で表現していきたいと思います。
篠倉 正行 (1958年生まれ) | |
1982年 | 和光大学人文学部芸術学科 卒業 |
2001年 | 第19回上野の森美術館大賞展 入選 |
2006年 | 第3回利根山光人記念大賞展ビエンナーレ・きたかみ 入選 / 第80回国展 入選(同2007年) |
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ビアンキ賞 「影のムーブメント」 小林 哲郎 神奈川県 |
紙に染み込んでいく墨色、染めた紙を裂き現れる形。まるで錆び朽ちた廃屋が自然の一部に見えるように、意識しては作り出せない形態がそこに生まれています。いびつな形の紙を組み合わせ、色を重ね、造形していくときに生じる自意識との軋み。その軋みに耐え、矛盾を積極的に抱えること自体が制作なのだろうと思っています。
時間的にも空間的にも大きな何かの一部でありたい、矮小な小宇宙の主にはなりたくない。そんな私にとって、血管を流れる東洋的感覚と、脳に住み着いた西洋な視点の葛藤は、やはり避けがたいテーマでもあります。和紙や墨を使い、アクリル絵の具やテンペラ技法と混合させているのも、一つの表れかもしれません。
あれこれ考えながら本当に無心になれる一瞬を探す日々です。
小林 哲郎 (1958年生まれ) | |
1981年 | 武蔵野美術大学油絵学科 卒業 |
1982年 | 第50回独立展 (同1983、85、88、90年) |
1985年 | 第3回上野の森美術館大賞展 (同1986、92、93、01、02、05年) |
1991年 | 第3回国際美術大賞展 |
1996年 | 第6回ART BOX大賞展(同1998、99年、97年 ギャラリー賞受賞) |
2000年 | 第35回昭和会展 |
2003年 | 第5回フィレンツェ賞展 佳作賞受賞(同2004年) |
2006年 | 第2回世界堂絵画大賞展 / 他個展、グループ展多数 |
現在 | 無所属 |
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10回記念特別賞 「回帰」 星 美加 茨城県 |
海のそばで育っていないのに「海に帰る」というフレーズが自分の中にあって、最近海を描く時に足跡を海に続けて描いています。不思議なもので、懐かしいと感じる風景は自分が育っていない見知らぬ土地だったりして、記憶の中にそういった「風景」が存在していることに気付かされます。昔どこかで見た風景や本で読んだフレーズ、写真集で見たよう風景、夢で見た風景。そういったものが織り交ざって自分の原風景のようなものを作り上げている気がします。
星 美加 (1979年生まれ) | |
2001年 | 第75回国展 入選(彫刻部) |
2002年 | 筑波大学芸術専門学群彫塑コース 卒業 / 第76回国展 T社奨励賞受賞(彫刻部) |
2003年 | 第5回フィレンツェ賞展 入選 |
2004年 | 星美加・鳥越義弘二人展(サイトウギャラリー/茨城) / 第6回フィレンツェ賞展 優秀賞受賞 / 第40回神奈川県美術展 入選(同2005年) |
2005年 | 筑波大学芸術研究科修士課程洋画コース 修了 / 第59回二紀展 入選(同2006、07年) |
2006年 | 第8回春季二紀展 / 第1回ビエンナーレうしく 市民賞受賞 / 第2回風の会展(新潟、東京、大阪、ブルガリア、マケドニア) |
2007年 | 筑波大学人間総合科学研究科博士後期過程入学 / 第19回しんわ美術展 努力賞受賞 / 第12回うしく現代美術展 |
2008年 | 第9回春季二紀展 奨励賞受賞 / 第2回ビエンナーレうしく 入選 |
押元 一敏 | 千葉県 | 歓喜 |
神山 玄 | 神奈川県 | 終日 |
多養 麻子 | 兵庫県 | 秘密の向こう側 |
中山 智介 | 神奈川県 | 扉 |
橋本 浩子 | 東京都 | shine |
平林 孝央 | 東京都 | diorama |
安冨 洋貴 | 兵庫県 | それぞれの探すもの |
吉田 卓哉 | 山形県 | 祠話~私的民俗学~ |
渡辺 香奈 | 群馬県 | 流々奏々 |
青木 一也 | 東京都 | お婆さんが少女にやさしさについて教えている所 |
伊藤 裕貴 | 福井県 | 聖域~生々流転Ⅲ |
岩井 綾女 | 埼玉県 | ほやの樹 |
潮田 和也 | 栃木県 | 追憶の日々が照らす |
柏田 忠 | 兵庫県 | Mothers |
北本 真隆 | 石川県 | nihil |
木俣 創志 | 茨城県 | フェンスと木洩れ日 |
児玉 沙矢華 | 神奈川県 | 等閑の境界-多重する、ずれ |
是永 昭宏 | 広島県 | ソンザイ |
斉藤 祟倖 | 群馬県 | Novum Testamentum |
榊 和也 | 大阪府 | 樹海 |
ジュリアス・ンジャウ | 愛知県 | DRUM |
白藤 さえ子 | 東京都 | 黙れ騙せ沈め |
杉崎 荒太 | 埼玉県 | オクルトキ、トドマルカタチ |
清田 悠紀子 | 東京都 | prologueⅠ |
染谷 厚 | 埼玉県 | 辿り着いた場所 |
田丸 ひとみ | 神奈川県 | 私の中のトスカーナ |
張 京浩 | 東京都 | 高原の鉄道 |
永井 雅人 | 東京都 | 密林の蘇生 |
中尾 真奈 | 大阪府 | 忘却の脱け殻 |
中野 修一 | 秋田県 | 微かな余韻の中で |
藤井 誠 | 埼玉県 | 証明 |
藤井 泰世 | 神奈川県 | mosso |
茅 兵 | 埼玉県 | 風にさそわれて |
望月 昭伸 | 東京都 | 凶報 |
柳澤 裕貴 | 群馬県 | ゆらめきの中で-残夢- |
山本 曜葵 | 東京都 | 小千谷の鯉心 |
渡辺 一洋 | 群馬県 | 新潟哀歌 |
応募数:235点(38都道府県)
入選:42点(フィレンツェ大賞:1点、 優秀賞:2点、 ビアンキ賞:1点、10回記念特別賞:1点、佳作賞:9点、入選:28点)
・応募者は、作品提供と同時に展覧会の報道記録、図録制作の為の作品写真の複製、及び掲載を承諾したも
のとします。
・応募規定にそぐわない等の理由により、審査結果発表後でも賞を取り消す場合があります。
・応募に関する個人情報は、本事業以外の目的には一切使用いたしません。
お問合せは公募展事務局までお願いいたします。
〒950-1101 新潟県新潟市西区山田451 雪梁舎美術館「フィレンツェ賞展」事務局
TEL 025-377-1888 / FAX 025-377-1881