フィレンツェ賞展

第21回雪梁舎フィレンツェ賞展

趣旨

 ルネッサンス文化発祥の地、フィレンツェは、世界的な芸術の都です。このたび、日本国内において活躍しておられる、若い精鋭作家の発掘を目的として、「第21回雪梁舎フィレンツェ賞展」を開催いたします。
 大賞受賞者には芸術の都フィレンツェ留学を通して創作活動を支援し、これからの芸術文化の振興と、芸術家の育成を図ることを目指して作品を募集しております。さらに雪梁舎美術館は新たな飛躍を目指して、2014年6月にイタリア国立フィレンツェ美術アカデミアと日本国内としては初となる提携を結びました。これにより「雪梁舎フィレンツェ賞展」を通じた新たな国際交流と、若手作家の育成をより強固な体制がととのいました。
 50歳以下、具象系という制限のなか、全国より164点(うち147点出品)の応募があり、厳正なる審査の結果、5点の入賞作品を含む41点の入選作品が選考されました。 入賞、入選されました各作家の一層のご活躍を期待しますと共に、ご出品いただきました方々のさらなるご精進を心から祈念いたします。
 「フィレンツェ賞展」は、雪梁舎美術館の設立者であり、株式会社コメリの創業者でもある故・捧賢一が発案し、1999年から開始したものです。今回よりこれを顕彰し、新たに「ファウンダー捧賢一賞」を設けました。

展覧会

【新潟】

雪梁舎美術館
 2019年8月3日(土)~9月16日(月・祝)

【東京】

東京都美術館
 2019年10月24日(木)~30日(水)

※両会場とも全入賞・入選作品を展示します。

主催

公益財団法人 雪梁舎美術館

協賛

株式会社 コメリ

協力

国立フィレンツェ美術アカデミア

後援

在日イタリア大使館、イタリア文化会館、新潟県、新潟日報社、朝日新聞新潟総局、読売新聞新潟支局、毎日新聞新潟支局、日本経済新聞社新潟支局、産経新聞社新潟支局、NHK新潟放送局、BSN新潟放送、NST、TeNYテレビ新潟、UX新潟テレビ21、エフエムラジオ新潟、FM PORT79.0


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応募資格

50歳以下(1968年1月1日以降生まれ)の具象系。
日本国内在住。※経歴、所属は問いません。

申込期間

2019年4月1日(月)~6月1日(土)必着

作品規格

絵画(公募展等に未発表作品)。
S100号サイズ(162.1cm×162.1cm)以内。
壁面に展示可能なもの。
作品保護のため、額(ガラスは不可、水彩・版画についてはアクリルに限り可)または仮額(画面より高さのあるもの)を必ず付けてください。ただし、制作意図を妨げる場合は、展覧会の際に取り外すことができます。

審査員

ミリアン・ペルテガト (国立フィレンツェ美術アカデミア助教授)
土方 明司(平塚市美術館館長代理/武蔵野美術大学客員教授)
真室 佳武(東京都美術館館長)
柳原 正樹(京都国立近代美術館館長)
捧 実穂 (雪梁舎美術館理事長/学芸員)

■フィレンツェ大賞(1点)

3ヶ月間のフィレンツェ市での制作活動を支援。
国立フィレンツェ美術アカデミアでの特別聴講が可能。 (渡航費・宿泊費・食費支給)
※作品は帰属

■フィレンツェ美術アカデミア賞(1点)

1ヶ月間のフィレンツェ市での制作活動を支援。
国立フィレンツェ美術アカデミアの特別聴講が可能。 (渡航費・宿泊費・食費支給)
※作品は帰属

■ファウンダー捧賢一賞(1点)

賞金50万円
※作品は帰属

■優秀賞(2点)

賞金30万円

■佳作(10点程度)

■入選

■オーディエンス賞(1点)

※賞の内容、点数及び賞金額は変更となる場合があります。

受賞作品

精霊に告ぐ フィレンツェ大賞
精霊に告ぐ
藤田 麻知世

■作家コメント

 私が使用する画材は、殆どが天然素材であり、職人さんたちが手作業でつくった物なので、絵師である私は、多くの職人さんたちの仕事の集大成となるように、丁寧な仕事をしなくてはならないと思っております。
 描く対象の面白さ、霊性、形態、独自性などを、最短距離で伝える為に構成し直し、画面に定着させる作業は、楽しくもあり大変な作業で、私には勉強が要ります。
 作品が仕上がるにつれ、いつももっと、まだまだやれる事があるのに…という気分になります。
 一枚の作品を描くということは、描く対象を通し森羅万象と繋がり、職人さんたちと繋がり、観る方たちと繋がり、私に「まだまだやれるその何か」を探す目的を与えてくれるのです。
 今回の作品で、左端の上に蝶を描きましたが、それは私自身であり、あなた自身であると感じて頂けたら幸いです。

■作者略歴

藤田麻知世(1968年生まれ)
1968年 千葉県生まれ
1995年~2003年 インドネシアにて、古代インドの叙事詩「ラーマヤナ」等の神話をテーマにした、カマサン・スタイルと呼ばれる王宮の装飾画の古典画法を学ぶ
2012年 武蔵野美術大学通信教育課程にて、日本画を学ぶ
2015年 第50回日展春季日本画展 入選
第7回前田青邨記念大賞展 入選
2017年 第1回新日春展 入選
2018年 第2回新日春展 入選
君は雲の旅の様 フィレンツェ美術アカデミア賞
君は雲の旅の様
児玉 沙矢華

■作家コメント

 虚像と実像が映り込む世界を描くことで、作品を観る人の空想を拡げていくような絵画を目指しています。
 水溜りを見ると地面であるはずの場所に空が見え、視点が逆さまになり、不思議な感覚に陥ることがあります。その空の鏡像の上ならば、空を飛ぶという空想が実現するような気持ち、空想が現実に拡張していくような感覚になれるのではないでしょうか。
 今回の作品は、鳥に見えた形が飛んで行ってしまった後、空に解けこむという空想から描き始めました。また、雲の形が鳥に見えることがあるように、人の仕種や自然の形も何かに見立てることができます。観る人によって空を飛んでいるのか、水上の出来事なのか、絵の物語が変わってくるかもしれません。
 空想の中で雲のように旅をすることを楽しんでいただけましたら幸いです。

■作者略歴

児玉沙矢華(1986年生まれ)
1986年 東京都生まれ
2005年 第59回女流画家協会展 入選(以後毎年、2008年世界堂賞、10年リキテックス賞、11年岡田節子賞、12年女流画家協会賞)
第73回独立展 入選(以後毎年、2006年新人賞、08年佳作賞、14、15年奨励賞、16年中山賞、17年山田文子賞、18年独立賞)
2008年 東京学芸大学教育学部芸術文化課程美術専攻 卒業
第10回雪梁舎フィレンツェ賞展 入選
2010年 東京学芸大学大学院教育学研究科美術教育専攻 修了
2011年 第51回神奈川女流美術家協会展 招待出品
2013年 第7回日本美術家連盟新会員奨励展
2014年 独立春季新人選抜展 選抜展賞
2015年 第50 回昭和会展 招待作家(日動画廊)
2016年 ギャラリースタッフセレクション♯57 児玉沙矢華展(相模原市民ギャラリー)
2017年 五月の風‐昭和会入選作家選抜展(2018年も、日動画廊)
個展(ギャラリーアートもりもと)
現在 独立美術協会準会員、女流画家協会委員、日本美術家連盟会員
かくれんぼ ファウンダー捧賢一賞
かくれんぼ
鈴木 ほのみ

■作家コメント

 敵も味方もみんな一緒に生きている。
 生きている意味を考えても答えはでない。
 楽しもう。
 この毒でいっぱいの世界を。

■作者略歴

鈴木ほのみ(1975年生まれ)
2000年 第18回上野の森美術館大賞展 賞候補(2003、13、15、16、18年も。2002、04、10、11、12、17、19年入選)
2001年 第6回TYK優秀絵画展 大賞
第4回熊谷守一大賞展 入選(2009年も)
2011年 第29回シェル美術賞2011 入選
個展(SYSTEMA GALLERY/大阪)
2014年 第3回あさごアートコンペ 入選
2015年 第8回はるひ絵画トリエンナーレ 佳作
第17回雪梁舎フィレンツェ賞展 入選(2016年も)
2016年 第29回全国絵画公募展IZUBI 入選
第5回損保ジャパン日本興亜美術賞FACE展2017 入選(2017年も)
2017年 FACE展 選抜作家小品展(REIJINSHA GALLERY/銀座)
2018年 2人展(ギャラリー詩と美術館/岐阜県中津川市)
2019年 space A(ギャルリーくさ笛/愛知県名古屋市)
ここなら自分の形がわかる 優秀賞
ここなら自分の形がわかる
城野 紗貴

■作家コメント

 日常から少し離れて、静かな場所に行くと自分の歩く足音が聞こえます。自然のなかに残されている、誰かがいた痕跡を見つけて想像したり、一枚の葉っぱだけが揺れているのを観察したり。
 自分のすぐ近くの、些細な事象で考えが満たされるのを感じます。
 他者との関係のなかで成果を生み出すには、たくさんの情報からヒントを得て流れに乗る必要があり、気まぐれに歩みを止めるというのは難しいことです。 自分の意思で進む方向を決められるという実感と、この足跡がきっと残るという自信をいつでも取り戻せるように、自分の形を確かめるための時間を、作品のなかに留めようと思いました。

■作者略歴

城野紗貴(1990年生まれ)
1990年 佐賀県生まれ
2013年 筑波大学卒制展 芸術専門学群長賞
第15回雪梁舎フィレンツエ賞展 佳作
2014年 第16回雪梁舎フィレンツエ賞展 佳作
TURNER AWARD 2014 大賞
2015年 初個展「また会える場所」(アートギャラリー石)
筑波大学大学院人間総合科学研究科 修了
個展「たからものの作り方」(コート・ギャラリー国立)
新進芸術家育成交流作品展「FINE ART / UNIVERSITY SELECTION 2015-2016」(つくば美術館)
2018年 個展「違う花が咲いた」(コート・ギャラリー国立)
自由がある動物園 優秀賞
自由がある動物園
陳 璟

■作家コメント

 今年、日本は商業捕鯨を再開した。私は外国人である。そして、肉も食べる。だから、この国の伝統や習慣など責める立場ではないと知っている。台湾でも、ふかひれを食べるために、残酷な手段でサメを捕獲するという事実がある。そこには、人間の地位や財産を自慢する手段が内在している。商業捕鯨を再開したことをきっかけに、色んなニュースや資料を調べ、悲しさを感じた。
 今年の5月に、哺乳類の展示を観に行った。そこには、たくさんの剥製が展示されていた。私は、この空間が鑑賞者にとって一種の娯楽や学習のような場所だと感じたと同時に動物たちにとって、お墓のようなところではないだろうかとも思った。大きな鯨の骨をデッサンしながら、死んだ後に土や海に戻れないけど、せめて魂は自由でいてほしいという願いを込めて描いた。

■作者略歴

陳 璟(1992年生まれ)
1992年 台湾生まれ
2018年 第36回上野の森美術館大賞展 入選
現在 筑波大学大学院 人間総合科学研究科博士後期課程 在学中

■オーディエンス賞


新潟展・東京展ご来場者様による全展示作品を対象とした、「オーディエンス賞」の投票が行われました。
投票総数1989票の集計の結果、柳田 金乃助さんの《音孔》が選出されました。
柳田さんには記念の盾を贈呈します。


※全投票者の中から抽選で20名の方に当選する「第21回フィレンツェ賞展図録」は12月初旬ころの発送とさせていただきます。
(発表は発送をもってかえさせていただきます)

《音孔》 《音孔》
柳田 金乃助

■作家コメント

この度のオーディエンス賞受賞、大変嬉しい限りです。

沢山の来館者様による膨大な視点から、今回の作品である《音孔》が支持を受けた事は私にとって大きな自信となりました。

そして皆様から寄せられたコメントの中には制作者の私ですら全く想像もしなかった様な《音孔》への所見も存在し、 公の場へ作品を出すことの意義をより強く感じた次第です。

今後は皆様に戴いたこの賞を新たな糧として更に良い作品をお届け出来るよう腕を磨いていきたいと思います。

最後に
雪梁舎美術館及び東京都美術館へ来館された皆様、
《音孔》へ投票、コメントをしてくださった皆様へ
ここに最大級の感謝の気持ちを表明致します。

本当にありがとうございました!

入選作品リスト

 

■佳作

開藤 菜々子 いろはに6月9日
高尾 明日香 この街のどこかに居るあなたを想って
岩崎 裕子 skeletal tree
町田 結香 すって、はく
宮本 美澄 車輪梅
阪本 結 Landscapes(久世橋、工事)
伊庭 広人 展望 267
南雲 まき 雪解けの水面
熊澤 未来子 御嶽
髙橋 諒 くるめぐりめく

 

■入選

三鑰 彩音 蚕食
猪股 寛昭 笑いたい時わらうし、かまって欲しいし。
村上 里紗 ひだまり
房 鑑成 記憶の中にある故郷Ⅰ
沼田 友理子 白昼夢Ⅱ
ながせ かな 腐草為螢
野出 員子 生態Ⅱ
柳田 金乃助 音孔
松浪 吉樹 猫が好きで好きで
安藤 沙彩香 ミツメル
名倉 歩 痕跡
小畠 大輔 painter
今吉 遥香 あなたがあなたでいれるように
藤本 桃子 山想う
諸星 浩子 Last Supper
德田 景 vanish
薗田 雅俊 Link
松村 和子 花のゆめは
郝 玉墨 如夢令
小堺 百笑 道の時
山崎 春香 刹那
木村 真光 現身
只野 彩佳 ライトナイト
松原 由加子 深山
榊原 孔美子 白日夢
三谷 まど香 生命の詩

(順不同)

お問い合わせ

雪梁舎美術館「フィレンツェ賞展」事務局
〒950-1101
新潟県新潟市西区山田451
TEL:025-377-1888 / FAX:025-377-1881