ルネッサンス文化発祥の地、フィレンツェは、世界的な芸術の都です。
このたび、日本国内において活躍しておられる、若い精鋭作家の発掘を目的として、「第26回雪梁舎フィレンツェ賞展」を開催いたします。
フィレンツェ滞在を通して創作活動を支援し、これからの芸術文化の振興と、芸術家の育成を図ることを目指して作品を募集しております。さらに新たな飛躍を得るため、2014年6月にイタリア国立フィレンツェ美術アカデミアと日本国内としては初となる提携を結びました。これにより「雪梁舎フィレンツェ賞展」を通じた国際交流より親密になり、若手作家育成のより強固な体制 がととのいました。
50歳以下、具象系という制限のなか、全国より245点(うち232点出品)の応募があり、厳正なる審査の結果、5点の入賞作品を含む40点の入選作品が選考されました。入賞、入選されました各作家の一層のご活躍を期待しますと共に、ご出品いただきました方々のさらなるご精進を心から祈念いたします。
「フィレンツェ賞展」は、雪梁舎美術館の設立者であり、株式会社コメリの創業者でもある故・捧賢一が発案し、1999年から開始したものです。第21回展よりこれを顕彰し、新たに「ファウンダー捧賢一賞」を設けました。
雪梁舎美術館
2024年7月27日(土)~9月23日(振休)
東京都美術館
2024年10月24日(木)~30日(水)
※両会場とも全入賞・入選作品を展示します。
公益財団法人 美術育成財団雪梁舎
株式会社 コメリ
国立フィレンツェ美術アカデミア
在日イタリア大使館、イタリア文化会館、新潟県、新潟市、新潟日報社、朝日新聞新潟総局、読売新聞新潟支局、毎日新聞新潟支局、日本経済新聞社新潟支局、産経新聞新潟支局、NHK新潟放送局、BSN新潟放送、NST新潟総合テレビ、TeNYテレビ新潟、UX新潟テレビ21、FM新潟77.5
終わりがない明日の景色を覗き見る 渡辺 愛子 162.0×130.3cm キャンバス、油彩 |
ジャングルと犬をテーマにした作品は幾つかシリーズで描いているものの一つで、自然への尊敬と畏怖をテーマに描いています。植物園や温室、公園で写真を撮り、家に帰ってデッサンをし、コラージュのように画面の中で組み合わせて描いています。
私は小さい頃、島根県に住んでいたのですが、家の周りは竹藪や畑、草木がたくさんあり、その中で毎日遊んでいました。緑生い茂る鬱蒼とした木々や草花を描く時は、その頃の景色や草木の匂いを思い出しながら描いています。
画面の中を徘徊する犬は私自身かも知れないし、この絵を見ている人かも知れないし、もしくは全く関係のない傍観者かも知れません。犬は何かを探して画面の中をウロウロしています。明日への希望へ繋がる何かが見つかることを期待しています。反面、所詮飼い慣らされた犬ですから、この緑生い茂る庭から外へ出ることは永遠に出来ないかも知れません。
私は自然の美しさやその在り様に尊敬の念を持っています。時には葉一枚表現することに苦労しますし、所詮自然の美しさを越えることは出来ないと失望することもあります。
そして近年、人間の力だけではどうすることも出来ない自然災害やパンデミックが起こり、自然に翻弄され続ける人間の非力さと自然への畏怖を改めて感じます。
今、世界では多くの困難な問題が起こり、明るい希望を見出すことが難しくなっています。その中で、現在生きている私にとってできることは絵を描くことしかありません。私の絵を見ている時は少しでも楽しく、ワクワクするような時間を多くの人に提供できれば良いと願って、毎日絵を描いています。
渡辺 愛子(1978年生まれ 神奈川県在住) | |
2000年 | 個展(KEY Gallery &青樺画廊/東京) |
2001年 | 多摩美術大学 美術学部絵画学科油画専攻 卒業 |
2002-2004年 | カールスルーエ造形美術大学 絵画科素描コース在学(ドイツ)(Prof Silvia Bächli) |
2004年 | 個展(Ev Trinitatis Kirche in Bonn/ドイツ、2015年) |
2010年 | 個展(ギャラリーなつかb.p./東京、2011年) |
2012年 | 個展(ギャラリーなつか/東京、2016,’21,’24年) 第48回神奈川県美術展 |
2014年 | 第10回世界絵画大賞展 名村大成堂賞 グループ展『Round 2014』(ギャラリーなつか/東京) |
2017年 | 第4回宮本三郎記念デッサン大賞展 荒井良二賞(小松市立宮本三郎美術館/石川・世田谷美術館分館宮本三郎記念美術館/東京) |
2018年 | グループ展Open Studio 2018(Art Factory 城南島・元麻布ギャラリー/東京) |
2019年 | 第37回上野の森美術館大賞展 グループ展Open Studio 2019(Art Factory 城南島/東京) グループ展『View’s view』(ギャラリーなつか/東京) |
2020年 | 第38回上野の森美術館大賞展 |
2021年 | グループ展『植物区』(ギャラリーなつか/東京) |
2022年 | 第40回上野の森美術館大賞展 絵画大賞 グループ展『ハルノ ノハラ』(ギャラリーなつか/東京) |
2023年 | 第40回上野の森美術館大賞展入賞者展 |
2024年 | 個展(上野の森美術館ギャラリー/東京) |
僕らはいつまで羊でいるのか 中村 彰吾 162.0×130.3cm キャンバス、油彩 |
「この物語はどこに幸福があるのだろうか?」と、彼は羊の物語を話した後に尋ねた。
「それは、飼育された羊と脱走した羊、どちらが幸福であるかということでしょうか?」と僕は質問の意図が分からなかったので彼に尋ね返し、僕たちは、飼育された羊と脱走した羊のどちらが幸福であるのかを問答した。しかし、僕には明確に答えを出すことができなかった。
「それじゃ、この物語の幸福とは何なのでしょう?」と僕は尋ねた。
「簡潔に言ってしまえば、飼育された羊と脱走した羊のどちらも幸福であったはずだよ。僕が思うことは、この物語に出てこない、その他の無自覚に群れている多くの羊たちが、ただ、消費と消耗をされ続けているのではないかということだ。本来の自分を永遠に失ってしまってはいないかという危惧だ。彼らは、ある意味においては幸福なのかもしれない。だけれど物語の二匹の羊は、世界に目を見開いていたのに対して、後者の羊たちは永遠に目を閉ざし続けている。これは不幸なことだ」と彼は説明した。
僕は、この物語に出てこない羊たちのことを想って、憐れんだ。それは、僕に死者の群れを連想させた。
「無自覚な死者の群れ」と僕は呟く。
筆者の小説「この惑星を訪れているだけ」より一部抜粋と編成
中村 彰吾(1992年生まれ 大阪府在住) | |
2019年 | 第95回白日会関西巡回展 ホルべイン賞 |
2020年 | 白日会関西選抜展 大井新人奨励賞(ギャラリー大井) |
2021年 | Art Branch NEXT(SMBC信託銀行) 會美之会展(鳥取大丸4階 アートギャラリー) 大阪芸術大学大学院芸術研究科博士課程(後期)芸術専攻 修了 |
2022年 | Art Lime.展2022(高槻阪急アートギャラリー) |
2023年 | 第25回雪梁舎フィレンツェ賞展 入選 空美計画–ROOM4–(江之子島文化芸術創造センター) |
2024年 | 白日会創立100周年記念展 |
現在 | 博士(芸術)、白日会準会員 |
薄明の地下宮殿 金子 貴富 130.3×162.0cm パネル、油彩 |
普段何気なくみている日常風景も、ふとしたきっかけで新鮮な感動や驚きを感じることがあります。そんな感動を素直に表現したく絵を描いています。
金子 貴富(1994年生まれ 埼玉県在住) | |
2016年 | 第70回記念二紀展(以降毎年、2023年奨励賞) |
2018年 | 第20回雪梁舎フィレンツェ賞展 佳作(2020年入選、’22年佳作) |
2020年 | 日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程造形芸術専攻 修了 |
2021年 | 美術新人賞デビュー2021 奨励賞 |
marginal 櫻井 あすみ 162.0×162.0cm 木製パネル、和紙、顔料、箔 |
街を歩き撮影した写真をもとに、写真製版によるシルクスクリーンと日本画の技法を併用しながら、ありふれた景色の断片を描いています。
「marginal」は「余白」にあるものを意味します。誰が目に留めるでもなく、いつかは忘れ去られるもの。どこにでもありそうで、もうどこにもないかもしれないこと。そんな景色を拾い上げたいです。
櫻井 あすみ(1983年生まれ 千葉県在住) | |
2015年 | 広島市立大学芸術学部美術学科日本画専攻 卒業 |
2016年 | 第34回上野の森美術館大賞展 優秀賞(産経新聞社賞) |
2017年 | 東京藝術大学大学院美術研究科芸術学専攻(美術教育)修士課程 修了 FACE展2017 入選 |
2020年 | 個展「残像」(TS4312/新宿) 「ART=Research探究はどこにあるのか」展(小山市立車屋美術館/栃木) |
2022年 | FACE展2022 入選 「Articulation 区切りと生成」展(小山市立車屋美術館/栃木) |
2023年 | 個展「流転と滞留」(アートスペース羅針盤/東京) 第25回雪梁舎フィレンツェ賞展 佳作 個展「出来事の変奏」(space2*3/KURUM’ART contemporary/東京) |
黎明の語らい 滝田 美絵 130.3×162.1cm 板、油彩 |
動物たち、人々が目覚め始める黎明の光の中で貴方も、私も、今も生き続けていく。
滝田 美絵(2003年生まれ 北海道在住) | |
2023年 | 第22回福知山市佐藤太清賞公募美術展 特選 横浜賞 六花亭アートヴィレッジ中札内美術村企画公募展「はたちのりんかく」 優秀賞 |
2024年 | 第23回福知山市佐藤太清賞公募美術展 入選 |
新潟展・東京展ご来場者様による全展示作品を対象とした、「オーディエンス賞」の 投票が行われました。
投票総数2,126票の集計の結果、関 佳奈子さんの《みちびく光》が選出されました。
関さんには記念の盾を贈呈します。
《みちびく光》 関 佳奈子 162.0×130.0cm キャンバス、油彩 |
この度は、オーディエンス賞の受賞、本当にありがとうございます。
たくさんのご感想、どれもすごく嬉しくて、噛み締めながら読ませていただきました。本当にありがとうございます。
この作品は、山道の先の光を描いています。険しい道の先にふと見える光が、私に勇気を与えてくれます。その光が自分だけでなく、他の誰かの希望にもなれたのなら、とても嬉しいです。
絵を描く時、楽しい時と同じくらい苦しい時も沢山あります。でも沢山の嬉しいお言葉を頂けて、凄く励みになりました。
この賞を頂けたことの感謝を胸に、これからも光を描いていきたいです。
高尾 明日香 | salt coffee |
張 兆揚 | 憩 |
李 唯親 | 時々雨 |
松浪 吉樹 | ねこたちにいやされて |
関 佳奈子 | みちびく光 |
前島 愛由 | 生命の樹 |
仲川 八寿男 | 星降る |
野中 郁見 | 風のゆくえ 秋 |
飯田 菜津美 | 陽だまりの記憶 |
石山 凌 | 小熊猫竹林 |
大塚 光子 | 食べる人-マリナーラピッツァ |
久保 遥 | 冬のひざし |
陳 柏欣 | 明日を迎えに |
増村 粧子 | 浅草浅草寺 |
森 智子 | ふたりのセカイ |
夢 周周 | Skin Painting(19) |
赤坂 厳 | Good.relationship |
板垣 夏樹 | Nostalgia |
荊 希文 | 星の巡る部屋 |
佐藤 八弘 | 生命の呼応 |
柴戸 彩杏 | 18時の鐘 |
鈴木 葉瑠 | たまねぎ |
土岐 勇将 | solitude |
伴 芹海 | あいまいな存在 |
羅 浩鳴 | 雪下 |
曹 婷婷 | 菖蒲湯 |
河辺 依莉乃 | moment. |
三上 今 | ファントム(球体と球体のあいだ) |
安樂 佐智子 | こもれびの詩ー朝のはじまりー |
鈴木 ほのみ | かくれんぼ |
野村 日向 | 引力 |
伊集院 正 | 時剋~空~ |
シュウ リナ | コミュニティ |
五十嵐 朋子 | connected |
吉竹 昌子 | まちあわせ |
(順不同・敬称略)