かざみどり巻頭文

出版祝賀会

 このたび、商いのうた歌集『微笑佛』を出版して、お祝いしていただいた。
  もともと歌は、社内報かざみどりにのせていたものである。昭和63年から19年間、売上高181億円、店数57店舗だったのが、平成18年、売上高2,474億円、店数763店舗となり、13倍の経営規模となった。苦労したことや上場した喜び、人との出会いや悲しい別れなどを歌い込んだ。まさに成長期の歌日記のようなものである。
  雪梁舎美術館での「俳句まつり」の先生方、宗左近さんや金子兜太さん、黒田杏子さんの強い勧めで出版することになった。
  祝賀会のお祝いの言葉のなかに、金子兜太さんは、「詩人、宗左近さんとの縁で歌集の出版に携わることになったが、これはいわば捧賢一氏の人間の成長史でもあろう。成長の叙事詩ともいえる1冊である」とあいさつされた。
  早稲田大学大学院教授の松田修一先生が、「捧会長とお会いしたのは30年前。会計事務所へ、新潟の片田舎のたった10億にもいかない会社の社長が上場したいと相談に来た。熱意にほだされた」と話された。
  また、ホームファッションのニトリの似鳥社長は、「コメリさんとは30年前、ペガサスセミナーで勉強した。まだ10店ほど、売上高も2、30億円の規模だった。Aクラスの大企業の先輩を見ながら、私どもはBクラスで早くAクラスであの人たちと机を並べて勉強したいものだと夢を語り合っていた」と話された。
  ファッションセンターしまむらの藤原会長は、「コメリさんとは業態が違うが、小さい商圏で標準化された店をたくさんつくるという手法は同じで、かねてより注目していた。人間は趣味の幅が広いほうが人間味があると感じている」とおっしゃった。
  当日セミナーのためご欠席された日本リテイリングセンターの渥美俊一先生は、ビデオレターで「コメリさんとお目にかかったのは40年前。国民生活を変えるのはチェーンストア勢力であることをペガサスクラブで勉強してきた。今、チェーンストア経営志向の企業のひとつとして最もモデルにされているのがコメリである。
  捧会長は、誰よりも経験法則を学習し続ける勉強の人であり、徹底的にやり遂げる固い意思の持ち主である。しかし、私は捧会長の本当の経営姿勢は、高校生の時からの、新しい日本をつくりたい、流通の世界で革新を起こしたいという志によるものだと思っている。そして、コメリのメセナ活動は、捧会長のフィランソロピー(慈善)と宗教観によるものだろう。捧会長の本当の人柄を示すのがこの歌集である」と祝辞をくださった。
  そして小椋佳さんが歌集のなかから選ばれた歌、13首を歌われた。
  にぎやかな会場が水を打ったように静かになり、ギターにのって流れる歌声は心にしみとおる。自分の作詞ながら感極まった。
  まさに経営者の喜びの祝賀会であった。

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