
2007年の重点方針は、「九州進出を成功させ ナショナルチェーンの責任を果たそう」であった。
九州は、人口が日本の約10%、面積も約10%であり、農業算出額1兆6000億円は、国内の18%を占めている。だが、本州から離れているだけに簡単に店舗を出店することは難しく、多くの企業は足踏み状態であり、出店を試みたものの撤退していったところもある。
重点方針を達成させるためには、思い切った政策を行っていかなければならない。商品の供給や人の配属の問題もある。そのためには一気に出店を進め、標準化された店をつくっていかなければならない。
幸い、九州の心臓部ともいえる福岡県の大牟田の地に素晴らしい用地の紹介があり、九州地区本部と合わせて物流センターを建設する手はずを整えた。物流センターは投資が大きい。早期に稼働率を高めていかなければならないのである。
店舗開発担当が調査を進め、小商圏の出店の要望が多いことが分かった。
役員会議で出店政策を練り、要員計画を立て、九州進出の戦略を立てた。商品部が現地をまわり、競合店調査を行い、地域性を考慮しながら仕入先開拓を行った。一部の問屋さんに地元のホームセンターから圧力がかかり、取引できないところも出てきた。だが、物流センターができることで今までのメーカーや問屋さんが協力体制を組んでくださり、商品供給の見通しがついた。
九州地区本部開設準備委員会をつくり、ニューハード&グリーンプロジェクトを経験し、店舗の生産性や地域与件の違いを熟知している幹部を地区本部長に任命した。九州地区への配属希望者を募集し、社内の体制を整えた。
コメリはハード&グリーンのチェーンをつくって25年。磨き上げてきた経験がある。教育に入りオープンの準備を進めてきた。
そして、1号店は2007年1月16日、長崎県に愛野店を出店し、そして1月21日に高来店、1月30日に雲仙吾妻店、熊本小川店とオープンし、開店を続けながら先期末、3月31日までに58店舗の出店を成し遂げたのである。
九州地区だけでも、1年あまりの間に1週間に1店舗のスピードで開店をしてきたことになる。会社の重点方針に全社を挙げて取り組み、沖縄を除いて全国46都道府県に出店を果たし、日本のホームセンターのナショナルチェーンとなった。
日本のホームセンターは雑貨スーパーといわれている。世界のホームセンター統計には入っていないのである。核商品である建築関係の資材、建材部門は取り扱いが少なく、ホームセンターとは認められていない。
コメリは、日本のホームセンターの本流をつくっていきたい。わが国の生活習慣や風土に合うホームセンター産業を構築していかなければならないのである。