
先期、80店舗を出店した。店数においては業界ナンバーワンとなり、大きく注目を集めている。
昨年の重点方針は、「九州進出を成功させ、ナショナルチェーンの責任を果たそう」であった。お取引先様をお招きしたコッコ会の役員会の席上で、三井物産アグロビジネスの社長さんが、
「JAの支所の数は全国で800カ所を割った。将来に向けては500カ所まで削減される見通しとのこと。コメリさんの店数はJAの支所の数を大幅に上回って932店である。農業資材や肥料、農薬の業界ではぜひコメリさんと取り組みたいという大きな流れが起きています」と話された。
そして、日本の食料自給率は39%。世界の先進国の中でそのように命を支える食を海外に依存しているところはないと力説されていた。
自給率を早急に50%にもっていかなければならないという、専門家の意見が台頭してきている。
アメリカ産牛肉のBSE問題が大きく消費者の関心を集め、中国からの輸入冷凍ギョーザが大問題を起こした。そして食肉やウナギの産地の偽装が問題となっている。
先般、元農林漁業金融公庫の木総裁から相談があって、日本の農政の立ち遅れ、食の安全の問題について支援する日本プロ農業総合支援機構ができ、力を貸してほしいというお話をいただいた。
コメリのハード&グリーンは、25年前、大店法が施行されたときに農業地帯である新潟で金物と農業用品を中心につくってきた専門店である。その長い経験のなかで店数も増え、農業技術者も入社し、大きく躍進してきた。そんなことから、ぜひコメリの店で農業経営の相談窓口を引き受けてほしいということになったのである。
コメリは農家のお客様との接点が最も多い小売業でもある。農業経営の苦労や悩みをお聞きしながら、農業の近代化に協力できればと入会させていただいた。
現在店では有能な農業経験者を採用している。農家の要望を聞き、商品を揃え、農業の問題点を解決できるような方法をとりながら、日本の健全な農業を育てていかなければならないと思うのである。農業は国の礎でもある。
小売業のなかでも、イオンが秋田県で専用水田を使い特別栽培米を1000トン委託生産することを計画し、さらに滋賀や山形、宮城などのJAと契約し、全体で1万トンを生産し、市場の2割程安い価格で自社ブランド化を進めようとしている。
また、イトーヨーカ堂も農業生産法人を設立し、千葉県で生産した野菜を販売している。
外食産業のサイゼリヤは福島県白河市の直営農場で農作物を栽培し、ワタミは農業生産法人を設立して野菜を生産している。
意欲ある農業者は、海外からの輸入に頼るのではなく、むしろ輸出したいという。これからのコメリの役割は大きなものになっていくだろう。